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zoom RSS 寅さんの名せりふ 〜映画「男はつらいよ」から〜

<<   作成日時 : 2007/07/17 12:57   >>

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 渥美清が演じた車寅次郎、通称・寅さん。全48作の映画「男はつらいよ」シリーズでは、毎回失恋の痛手を受けながらも、観る人の心を温かくさせてくれた寅さん。どの作品でも、見終わった後にさわやかさが残った。
 それは、渥美清を始めとするキャストの演技力だけではなく、人間の感情の機微を見事に表現したせりふの存在が大きかった。
 その心に残る名せりふは、寅さんが発したものだけではなく、寅さんにまつわる人が発したせりふにもあった。

 以下に、全48作品の中から、名せりふのいくつかを書いておきたい。
 

○第1作 「男はつらいよ」 1969年8月公開
 マドンナ:光本幸子(御前様の娘・冬子) ロケ地:京都府、奈良県

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 冒頭で流れる寅さんのナレーション

「 桜が咲いております。懐かしい葛飾の桜が今年も咲いております・・・。
 思い起こせば20年前、つまらねぇことでおやじと大喧嘩。頭を血の出るほどぶん殴られて、そのまんまプイッと家(うち)をおん出て、もう一生帰らねえ覚悟でおりましたものの、花の咲く頃になると、きまって思い出すのは故郷のこと・・・。ガキの時分、鼻ッたれ仲間を相手に暴れまわった水元公園や、江戸川の土手や、帝釈様の境内でございました。
 風の便りに両親も秀才の兄貴も死んじまって、今はたった一人の妹だけが生きていることは知っておりましたが、どうしても帰る気になれず、今日の今日まで、こうしてご無沙汰にうち過ぎてしまいましたが、今こうして江戸川の土手の上に立って生まれ故郷を眺めておりますと、何やらこの胸の奥がポッポッと火照ってくるような気がいたします。
 そうです、私の故郷と申しますのは、東京葛飾の柴又でございます。」



○第8作 「寅次郎恋歌」 1971年12月公開
 マドンナ:池内淳子(喫茶店を経営する貴子)  ロケ地:岡山県備中高梁

 博の母が亡くなり、一人身になった博の父・諏訪飃一郎(志村喬)のことが心配な寅さんは、しばらく飃一郎の家(岡山県備中高梁)に滞在することにしていた。
 ある夜、二人で酒を飲み交わしていた時、飃一郎が寅さんにしみじもと語った感動のせりふ。

「 寅次郎君。今、君は女房も子供もいないから身軽だと言ったね。
 そう、あれはもう10年も昔のことだがね、私は信州の安曇野というところに旅をしたんだ。
 バスに乗り遅れて田舎道を一人で歩いているうちに日が暮れちまってね。暗い夜道を心細く歩いていると、ぽつんと一軒家の農家が建っているんだ。
 りんどうの花が庭いっぱいに咲いていてね、開けっ放した縁側から明かりのついた茶の間で家族が食事をしているのが見える。
 まだ食事に来ない子供がいるんだろう、母親が大きな声でその子供の名前を呼ぶのが聞こえる。
 私はね、今でもその情景をありありと思い出すことができる。
 庭一面に咲いたりんどうの花。明々と明かりのついた茶の間。にぎやかに食事をする家族たち。
 私はその時、それが、それが本当の人間の生活ってもんじゃないかと、ふとそう思ったら急に涙が出てきちゃってね。
 人間は絶対に一人じゃ生きていけない。逆らっちゃいかん。人間は人間の運命に逆らっちゃいかん。
 そこに早く気がつかないと不幸な一生を送ることになる。
 分かるね、寅次郎君・・・分かるね・・・」

 その言葉に感動した寅さんが、「とらや」に帰って夕食の団欒のひと時に発したせりふ。

「 例えば、日暮れ時、農家のあぜ道を一人で歩いていると考えてごらん。
 庭先にりんどうの花がこぼれるばかりに咲き乱れている農家の茶の間。灯りが明々とついて、父親と母親がいて、子供達がいて賑やかに夕飯を食べている。
 これが・・・これが本当の人間の生活というものじゃないかね、君」



○第16作 「葛飾立志篇」 1975年12月公開
 マドンナ:樫山文枝 (大学の考古学研究所助手・礼子)  ロケ地:山形県(寒河江市)、静岡県

 「とらや」に下宿するマドンナの礼子と礼子訪ねてきた同じ大学の教授・田所を交えた、夕食の団欒のひと時に交わされた会話。

田所 「愛の問題。男と女の愛情の問題は実に難しくて、まだ研究し尽くしておらんのですよ」

寅 「研究しちゃうのかい?もっと簡単な事だろう。常識だよー!
 いいかい?あーいい女だなあ・・・と思う。
 その次には、話がしたいなあ・・・と思う、ね。
 その次には、もうちょっと長くそばにいたいなあ・・・と思う。
 そのうちこう、なんか気分が柔らか〜くなってさ、あーもうこの人を幸せにしたいなあ・・・ と思う。
 もう、この人の幸せのためだったら俺はどうなってもいい。もうオレ死んじゃってもいい!
 そう思う。それが愛ってもんじゃないかい?」

田所 「なるほどねえ・・・君は僕の師だよ!」と言って涙を流す。



○第39作 「寅次郎物語」 1987年12月公開
 マドンナ:秋吉久美子(化粧品メーカーの美容部員・隆子)  ロケ地:奈良県(吉野)、和歌山県、三重県(志摩市、伊勢市二見町)

 寅さんが、「とらや」での夕食の団欒のひと時に発したせりふ。

「働くってのはな、博みたいに女房のため子供のために額に汗して、真黒な手して働く人達のことをいうんだよ」



第42作 「ぼくの伯父さん」 1989年12月公開
 マドンナ:檀ふみ(泉の叔母・寿子)  ロケ地:佐賀県(佐賀市、古湯温泉、吉野ヶ里)、茨城県(袋田)

 寅さんが満男に酒の飲み方を教えるシーン。

「 まず片手に盃を持つ。酒の香りを嗅ぐ。
 酒のにおいが鼻の芯にジーンと染み透った頃、おもむろに一口飲む。
 さあ、お酒が入っていきますよということを五臓六腑に知らせてやる。
 そこで、ここに出ているこの突き出し、これを舌の上にちょこっと乗せる。
 これで、酒の味がぐーんとよくなる。
 それから、ちびりちびり、だんだん酒の酔いが体に染み透ってゆく」



○第44作 「寅次郎の告白」 1991年12月公開
 マドンナ:吉田日出子(料理屋の女将・聖子)  ロケ地:鳥取県、岐阜(奥恵那峡・蛭川)

満男が寅さんを評して言ったせりふ。
 
「 あのおじさんはね、高い崖の上に咲いている花のように、手の届かない女の人には夢中になるんだけど、その人がおじさんを好きになると、あわてて逃げ出すんだよ。
 今まで何べんもそんなことがあって、そのたびに俺のお袋泣いてたよ。バカねお兄ちゃんは、なんて・・・。
 つまりさ、きれいな花が咲いているとするだろう、その花をそっとしておきたいなあという気持ちと、奪い取ってしまいたいという気持ちが、男にはあるんだよ。
 おじさんは、どっちかというと、そっとしておきたい気持ちのほうが強いんじゃないか」 



○第48作(最終作品) 「寅次郎紅の花」 1995年12月公開
 マドンナ:浅丘ルリ子 (旅回りのキャバレー歌手・リリー)  ロケ地:鹿児島県(奄美大島)、岡山県(滝尾・津山)、神戸市

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 長年のマドンナ・リリーが寅さんのことを思って言ったセリフ。

「 格好なんて悪くったっていいから、男の気持ちをちゃん伝えてほしいんだよ、女は。
 だいたい男と女の間っていうのは、どこかみっともないもんなんだ。後で考えてみると、顔から火が出るようなはずかしいことだってたくさんあるさ。
 でも愛するってことはそういうことなんだろ。きれいごとなんかじゃないんだろ」



 いつまでも心に残る名せりふだ。実に温かい。




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寅さんの名せりふA 〜映画「男はつらいよ」から〜
 広島の実家から千葉県市川市の我が家に帰り、今日は久しぶりに近くの江戸川の土手に立った。  その時、川面を見ていると、ふと寅さんの面影が浮かんできたのである。  寅さんは今頃どうしているかなあ。  寅さんもいつしか、葛飾柴又から矢切の渡しで小船に揺られ、対岸の土手をぶらりぶらりと下ってこのあたりも散策したことがあるだろうになあ、との思いが私の脳裏をよぎったのである。 ...続きを見る
悠々寛大
2009/06/18 11:46

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
すごいですね‼こんなにいっぱいあって。なんで、こんなにいっぱいあるの?
Etui
2012/01/14 20:49
 Etuiさん、コメントありがとうございました。
 映画「男はつらいよ」シリーズには、人の心に響く名せりふがたくさんありました。
 それは、2009年6月18日付の記事「寅さんの名せりふA 〜映画「男はつらいよ」から〜」にも書きましたが、“寅さんは、自由奔放に生きてはいるが心は純真である。それゆえに、人間の本質を突いた名せりふを数多く残している。”のだと私は思います。

悠々寛大
2012/01/16 11:51

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