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zoom RSS 「三つ星」すし職人・小野二郎の素顔

<<   作成日時 : 2008/01/17 13:21   >>

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 小野二郎は語った。『不器用だからこそ人一倍努力した、人の三倍考えた』。それをコツコツと長年にわたり積み重ねてきた。そして、いつしか名人と呼ばれるようになった。
 昨年11月、フランスの伝統あるレストランガイドが東京版『ミシュランガイド東京2008』を発表した。
 その中で、すし職人・小野二郎(82歳)は最高の三つ星に輝いた。82歳の三つ星シェフは世界最高齢だという。

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 小野は銀座・数寄屋橋のオフィスビルの地下にある「すきやばし次郎」の店主で、その技は当代一と言われ、「現代の名工」にも選ばれている。
 「すきやばし次郎」は、世界の三つ星店では例のない地下の店で、メニューもなくカードも使えず、トイレも他店と共同という異例づくし。同ガイドによると、価格は昼夜ともコースで27,000〜32,000円。
 小野は「店が清潔で、味を落とさないことを常に心掛けている。もっと上を目指したい」と語った。外国客が増えることも予想されるが「サービスは見直さず、このやり方を続ける」という。

 小野が電話で三つ星獲得の知らせを受けたのはお昼前。
 店内にたまたま居合わせた客から拍手が起こり、「最初に三つ星のすしを食べた」と喜んでいた。
 小野は三つ星の評価にも、「日本では前例がないことなので実感がない」と戸惑いつつも「(同じく三つ星を獲得し「フランス料理界の帝王」の異名を持ち、交流がある)ジョエル・ロブションさんに負けない仕事を続けていきたい」と顔をほころばせた。根っからの職人なのである。



○「二郎握り」の誕生
 「すしは握った直後がもっとも美味しい」というのが小野の信条。流れるようなその握りは「二郎握り」と呼ばれる。

 小野は、静岡県天竜市(現浜松市)に生まれた。家の事情から7歳で地元の料亭に奉公に出る。しかし、生来不器用な二郎は、何をやっても時間がかかり、どなられてばかりいた。そんな二郎を支えていたのは、自分には「帰る場所はない」という思いだった。
 その後、東京で修業を積み、いつしか、自分の店を持ちたい、持つのであれば、やりやすい寿司屋を持とうと思った。そこで、著名な寿司職人に26歳で弟子入りをした。
 しかし、生来の不器用だけでなく、鮨を握るに致命的な左利きのハンデがあった小野は、親方の言うとおりに握ることができなかった。
 左手で握っても客に不自然さを感じさせない術をどう身につけるか。小野は、“うまいすしを握れるようになろう”の一念で修業した。
 そして、「二郎握り」はある日、偶然に誕生した。いぜんとして親方の言うとおりには握れないのだが、猛烈な忙しさの中で握った寿司が「二郎握り」を誕生させた。それまでの努力の積み重ねが実を結んだのであった。

 「二郎握り」と呼ばれる独特の握り方、微妙な握り加減は、同業者から「神の領域」とさえ呼ばれる。
小野が握った鮨を置くと、それは息を吐くように、ゆっくりと何ミリか沈み込む。酢飯の一粒一粒の間にたっぷり含ませた空気のなせる業なのである。

 『不器用だからこそ人一倍努力した、人の三倍考えた』という揺るがぬ思いが、その技の陰にはある。


 小野は語る。「自然体で握ってこそ鮨」。下半身には力を入れず、ひざを柔らかくして腰は気持ちだけ浮かした感じで・・・握る間、上体が両腕を除いてほとんど動かない。背筋を伸ばし、ただ飄々と立っている風なのである。

 そして、小野のたどり着いた完成型が、ネタの順番を決めて一カンずつ握りを出していく20カンの「おまかせ」である。
 「握った瞬間が最もおいしい」という信念から、流れるような速さですしを握り、客に差し出す。
 ネタの前後によって、おいしさは半分以下にもなるし、持ち味以上にもなる。
 冬のおまかせは、例えばひらめで始まり、すみいか、いなだ、赤身、中トロ、大トロ、こはだ、はまぐり…と続く。締めは季節に関係なく玉子焼きになる。

 神様が小野に与えた試練“不器用・左利き”を努力で乗り越えた小野の姿がここにあった。



○生涯、現役
 小野は82歳の今も毎朝40分歩く。その手には手袋を着けている。40歳ごろから、外出時には欠かしていない。日焼け防止と、すしで一番大切なシャリをつかむ手の中指、薬指、小指の腹の柔らかさを保つためだという。
 小野の手のひらを見ると、ピンク色でつるつるしている。『若い女性のそれと比べても、私のほうが柔らかいかもしれません』、と笑顔で語る小野。
 さらに、「舌の感覚が変わる」とコーヒーも飲まないなど、料理人としてこだわり続けてきた。


 もちろん、食材も自ら厳選する。小野が使う魚は、最高級の天然物。
 しかし、魚は、とれたての新鮮なものが鮨ネタとしておいしいとは限らない。味を決めるのは、「手当て」と呼ばれる職人技だ。
 魚の種類や状態に応じて寝かせる日時も異なり、塩や酢でしめることで、魚のうま味を最大限に引き出す。
 そして、鮨として握る魚はその日に自ら口にして判断する。だめだったものは、賄いに回る。うまい鮨を握るためには無駄も必要だと言う。


 小野の仕事ぶりと素顔については、NHK総合テレビが1月8日に放送した「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介されていたが、小野の謙虚な人柄が印象的であった。
 番組のクライマックスでは、「フランス料理界の帝王」ジョエル・ロブションが小野の店を訪れ、小野と真剣勝負をし、店を出る時、抱き合ってお互いを称えあう姿があった。
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小野の著書には、『すきやばし次郎 生涯一鮨職人』(初版2003年12月)があるが、10万部を超えているそうです。
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 この10年、小野は狭心症、甲状腺がんと大病を患い、今、引き際を真剣に考えるようになった。
 しかし、今日も、旨い鮨を握るために精魂を傾け、さらなる世界を求め続けている。

 すし職人が天職の小野二郎、修業は一生終わらない。





2014年4月24日追記:
 昨夜、オバマ米大統領が安倍首相と当店で会食し、『自分はハワイ生まれで、すしはずいぶん食べてきたけれども、人生の中で一番おいしいすしだ』と語った。






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人々に感動を与える生き方 〜すし職人・小野二郎〜
 昨日は当ブログ「悠々寛大」でちょっとした事件があった。  一つの記事に1日で3,000件を超えるアクセスがあったのである。  その記事は、2年前の2008年1月17日付“「三つ星」すし職人・小野二郎の素顔” である。  これまでにも、1日のアクセスが1,000件を超える記事は1件あった。2007年1月15日付の“重厚なドラマに仕上がった 「華麗なる一族」”である。  しかし、この度の小野二郎の記事へのアクセスはそれを遥かに凌ぐものであった。 ...続きを見る
悠々寛大
2010/01/27 11:00

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