吉永小百合~言葉で紡ぐ、平和への願い~


 女優の吉永小百合は、原爆詩の朗読会を21年間続けている。
 吉永小百合は、深い悲しみを湛えた詩の朗読を通して、原爆の悲惨さ、戦争の恐怖そして平和の尊さと生命の重みを切々と訴えている。
 できるだけ多くの子供たちの前で朗読したいと全国の小中学校に足を運んでいる。出演料は一切受け取らず、ボランティアでの活動だ。

 吉永小百合は、広島を舞台にした『愛と死の記録』(1966年、日活)の出演や、『夢千代日記』(1981年・1982年・1984年、NHK)で原爆症に苦しむ主人公を演じたことをきっかけに、1986年(昭和61年)から原爆詩の朗読会をスタートさせた。
 そして、昨年からは、沖縄戦をテーマにした戦争童話「ウミガメと少年」(野坂昭如作)の朗読も始めた。

 これまでは小さな朗読会を中心に行なってきたが、今年6月24日には客席数1600を超える東京オペラシティーコンサートホールで5年ぶりとなる大規模な朗読会を開いた。
 当日のプログラムには、次のように書かれてあった。

『第2回 チャリティコンサート・吉永小百合朗読会
『第二楽章・ヒロシマ・ナガサキ・沖縄』
~平和への願いを込めて~
出演 吉永小百合 大島ミチル 夏川りみ 大島保克 武川雅寛 吉川忠英 ひばり児童合唱団
司会 斉藤とも子

第一部
原爆詩より
 序
 ヒロシマの空
 生ましめんかな
 帰り来ぬ夏の思い
 慟哭 他

第二部
「ウミガメと少年」野坂昭如作 』


 この東京オペラシティーでの朗読会の模様を中心に、そこに向けた吉永の準備や、かつて朗読を聞いた子供たちの成長の軌跡なども交えながら、朗読に力を注ぐ吉永の姿を描いた特集番組をNHKが次のとおり放送した。
 8/9(木)NHK総合 午後10:00~10:50 吉永小百合 言葉で平和を紡ぎたい -思いを受け継ぐ子どもたちへ-
 8/15(水)NHK-BS2 午後9:20~11:00 吉永小百合 思いを受け継ぐ子どもたちへ ~平和への祈り~

画像


 吉永小百合の朗読には作者の思い・心がこもっており、作者の言いたいことも適格に表現されており、聴く者の胸にしっかり響き渡る。集った人々は感動を受けずに朗読を聴くことはできない。
 これぞ天職だ。
 吉永小百合は、朗読を通して人々に戦争の愚かさと平和の尊さを訴える役目を持って生まれたのではないだろうか。そのために、人を慈しむ人柄は生まれながらに備え、表現力を養うべく女優業へ進み、そして原爆の悲惨さに出会った。
 神様が書かれたシナリオどおりだったのではないだろうか。



 今年6月に東京オペラシティーで行われた朗読会の模様は、次の番組で放送される。

 8月19日(日)NHK-BS2 午後7:30~9:00 「吉永小百合 朗読会 第二楽章 ヒロシマ・ナガサキ・沖縄」

 この朗読会は、吉永小百合のこれまでの朗読・平和活動の集大成ともいえるものなので、必見だ。
 将来を担う子供たちを始め、できるだけ多くの人々が耳を傾けられますように。



○吉永小百合の朗読詩を詠む

 吉永の朗読は、必ずこの詩から始まる。

 『序』    峠三吉

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ


 一編を読み終えると静かに目を閉じる。
 そして、次の一編へ。



 「ヒロシマの空」     林幸子

夜 野宿して
やっと避難先にたどりついたら
お父ちゃんだけしか いなかった
お母ちゃんと ユウちゃんが
死んだよお・・・以下略

 作者の林幸子さんは、次のサイトでこの詩を作った思いを語っている。
「ヒロシマの空」 封印した記憶 書き残す決意  ←クリック



 『生ましめんかな』    栗原貞子

こわれたビルデングの地下室の夜であった。
原子爆弾の負傷者達は
ローソク1本ない暗い地下室を
うずめていっぱいだった。
生ぐさい血の臭い、死臭、
汗くさい人いきれ、うめき声。
その中から不思議な声がきこえて来た。
「赤ん坊が生まれる」と云うのだ。
この地獄の底のような地下室で今、若い女が
産気づいているのだ。
マッチ一本ないくらがりでどうしたらいいのだろう。
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。

と、「私が産婆です。私が生ませましょう」と云ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。
かくてくらがりの地獄の底で新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は血まみれのまま死んだ。
生(う)ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨(す)つとも




 『慟哭』    大平数子

しょうじ(昇二) よう
やすし(泰) よう
しょうじ よう
やすし よう
しょうじ よおう
やすし よおう
しょうじ よおう
やすし よおう
しょうじい
しょうじい
しょうじいい

 長文の一節だが、作者の子を思う深さが胸を打つ。

 原爆は愛する家族を奪っただけでなく、被爆後10年以上もの間、母子を引き離したのだった。
 この作品にまつわる話が、次のサイトに書かれている。
『慟哭』  ←クリック










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